酷暑が続く東京を離れ、約20時間を要しミュンヘンに着いた。
3年前、東欧の旅を経験した僕らは、すぐにミュンヘンという大都市を離れ、電車で南へ向かった。
DBの窓口でもらった時刻表をもとに、電車が停車するごとに駅名を確認した。幸いなことに、ドイツの鉄道はパンクチュアルなので、ドイツ語があまり読めない僕らでも着実に目的地に向かうことができた。
目的地に近づくにつれ、車窓からの風景は、オレンジ色の屋根と白い壁の住宅街や大きな箱型の工場地帯から牧草地帯へと変貌していく。
眼前には、3分の2を占める青い空に白く大きな積雲が浮かぶ。
大きな空の下には、あたかも緑色の海のような草原が広がり、ところどころに深緑の針葉樹林帯の島々が浮かぶ。
その大草原にはぽつんと家が建ち、周りで牛や馬がゆっくりと過ごしていた。
家々をつなぐ道にはすうっと長く二つの車輪の跡が続き、青い空へと向かっていく。
電車に乗り約4時間が経ち、電車の両側に大きな湖が見えてきた。
隣の席に座る老人は降りる準備をし始めた。使い古されたサンダルやバックパック。短パンにランニングシャツの風貌からドイツの激動の時代を生き抜いてきた人間の風格を感じた。
さあ、最初の目的地リンダウに到着した。
何もしない贅沢な旅が始まる。
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