東京都小金井市に唯一ある銭湯、「ぬくい湯」。
小金井市は都内では大きな面積を誇る区市町村ではあるが、銭湯が1つしかないというのは驚きだ。
そんなぬくい湯は東京学芸大学からほど近く、武蔵小金井駅からは徒歩20分と少し離れた立地にある銭湯だ。
創業は1963年(昭和38年)10月で、1972年(昭和47年)9月に現在の場所に移動し、今に続く銭湯だ。
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光るネオンと物置き
僕が伺ったのは、日曜日の夕方。
辺りは薄暗くなってきていて、グーグル・マップを頼りにぬくい湯へ向かった。
北大通りを進んでいくと、ぬくい湯と書かれた光る看板を見つけた。
しかし、一度見ただけでは、入り口がどこなのかよくわからなかった。
看板のネオンの真下に来ると、明かりが灯っており、自転車が何台か止まっていた。
備蓄用の品々や修理用具のようなものが置かれていて、銭湯ではなく物置きなのかと思ってしまう。
靴箱に靴を入れ、入り口のドアを開けようとして気付く、男湯と女湯の入り口が異なることに。
男湯の入り口から入ると、真ん中に番台がある。
半世紀以上の歴史をもつぬくい湯は現在ではあまり見ない番台方式の銭湯だ。
昔ながらの番台のよさもありながら、着替えている時に番台からの視線は気になってしまった。
たとえおじいさんでもおばあさんでも。
「お湯があつい時はうめて下さい。」
入り口の物置き感は館内まで続く。
災害用の発電機やら、何かのダンボールやら。
小学生からもらったメッセージや何かの表彰状。
この雑多な感じの一方で、どこか懐かしい感じを感じてしまう。
雑然とした様子もありつつ、掃除が行き届こっていないわけではなく、中央のソファーを中心に小学生のときに祖父母の家に遊びに来た世界観を感じしてしまう。
お風呂はシンプルに25個程度のカランと奥に大きな浴槽が一つある。
お風呂の壁には、「お湯があつい時はうめて下さい。」と書かれていた。
まるで、小さな時におばあちゃんの家に遊びに行き、「あつかったら、うめなさい。」とおばあちゃんに言われたときのような感覚になる。
この銭湯には至るところに平成、いや昭和の自由があった。
都内では珍しい浴槽
風呂場には2〜3人の常連客と思われるおじいさんが体を洗ったり、お風呂に浸かっていたりしていた。
お風呂に浸かって入るおじいさんの表情からお風呂の気持ち良さが伝わってきた。
ぬくいの湯の最大の売りは「青森ヒバ」を使って作られた大きな浴槽だ。
縦と横の長さだけでなく深さも十分で、お尻を風呂の底につけるとあご下辺りまでお風呂のお湯がくる。
風呂の淵に首や手をかけようとすると、お尻が浮く絶妙な高さの風呂だ。
中央部分に木の敷居があるが、底の部分では左右のお風呂は繋がっているので、湯温は左右同じくらいだ。
42度くらいだろうか。
僕が行った日はちょうど乳白色の湯で歴史ある温泉のお風呂に入っている気分になれた。
タイルの風呂もいいが、木で作られた大きなお風呂は自宅のお風呂とは違い、非日常感を味わうことができる。
風呂場の天井は低く、女湯からお婆さんたちの声が響き渡り、長湯になりそうな僕を日常に引き戻してくれた。
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住所 東京都小金井市貫井北町3-4-4
電話 042-383-5757
時間 16:00−23:00
休み 月曜