ミャンマーの交通事情を日記形式で紹介。
ミャンマーを旅したい人。ミャンマーに旅する予定の人。ミャンマーの交通事情を知りたい人の参考に少しでもなれればと思う。
今回の旅で訪れた主な都市は、マンダレー、バガン、ピンウールィン、ヤンゴンだ。
マンダレー空港→マンダレー市内
マンダレーの空港から外に出ると、強い日差しが肌に突き刺さった。
乗合バスに逃げ込むように飛び乗ったが、すでに車内は観光客の人いきれで溢れていた。
そのバスで、空港からマンダレー市内の長距離バスターミナルへ向かった。
途中、隣の席の男と話をした。恰幅の良い色黒の彼は、インドネシア人であった。インドの企業で科学を研究していると言っていた。
そのことが本当かどうか分からないが、TUMIのショルダーバッグをぷっくりと出たお腹の上に抱えていた。
彼はマンダレーで一泊して、明日、飛行機でバガンに向かうらしい。
車内は冷房があまりきいておらず、インドネシア人でも「ホット、ホット。」としきりに言っていた。
スリランカのバスをふと思い出した。
ホコリ臭い車内や、東南アジア特有の音楽、彩度の高めでギラついたバスのデザインが、観光客にとって暑さを増す要因に思えてくる。
1時間程バスに揺られ、マンダレー市内に到着した。乗客のほとんどはそれぞれのホテルの前で降りていく。
バスは道を行ったり来たりしながら、いつになったらバスステーションにつくのかと思っていた。
すると、ある民家の前で降ろされた。バスステーションの筈がない。
状況を飲み込めなかったが、インドや東南アジア圏ではよくあることを思い出した。どうやら仲介業者の家に降ろされたようであった。
とにかくバスステーションに連れていくように話すと、「バイクの後ろに乗れ。」と若い男が言ってきた。
パンクしそうなバイクに二人乗りをし、バスステーションまで連れて行ってくれた。
この時点で予定よりかなり遅れて、バガンには何時に着くのか心配になった。
バスステーションで16時のバスを予約した。それが一番早い便であった。
ミャンマーは長距離バスの交通網が整備され始めているようで、何社もバス会社があり、歩いていると何度も勧誘された。
指定された時刻にバス会社の前に行くと、ミニバスに乗せられた。またどこかの仲介業者に連れて行かれるのかと思ったが、大型バスが止まっているバス停まで移動したようだった。マンダレー市内の各地からミニバスがバガン行きのその大型バスに集まってきていた。
大型バス一回の燃料費でなるべく多くの人を運び、利益を出したいという考えがとても伝わってきた。
マンダレー市内→バガン
マンダレーからバガンまでバスで6時間前後。予定では22時ごろ到着。
私は大型バスの一番前の席に座った。大きめの座席シートにクーラーが効いていて、移動の疲れから、すぐに眠気が襲ってきた。
バスは男性の運転手とガイドの二人体制だった。ロンジーにサンダル姿からは想像できないが、狭く凸凹した道を卓越したテクニックで運転していた。
運転手はキンマをクチャクチャとして、ときおり赤い唾を窓から出す。歯茎は真っ赤に染まっている。
ガイドの男は「ウー、ウィチカ」と叫んでいる。
文化や言語がわからないと、気持ちが落ち着かない。
ずーっと土のでこぼこ道を進んでいるので、街が見えてきた時の感情の高ぶりは日本では感じれられない程であった。
2つ3つ街を過ぎたあたりから、辺りは暗くなり、街が見えなくなれば、外は車のライトの明かりのみであった。まだまだインフラは整備されておらず、道路がもっと整備されれば、もっと早く目的地に着くのだろうなと思った。
グーグルマップで現在地を確認しながら、あと何時間で着くのか何度も何度も計算した。
結局、バガンのバスステーションに着いたのは、21時を回った頃であった。
ここからバガン近くのニャウンウーにあるホテルまでバイクに乗せてもらい、22時を過ぎた頃、長かった移動は終わりを告げた。
バガンの電動バイク
2019年7月、世界遺産に登録されたバガン。世界三大仏塔の一つだ。
多くのパゴダや気球と一緒にみる日の出や日の入りは幻想的で人々を魅了する。
バガンでの観光には、電動バイクがおすすめだ。
国際免許状などがなくても運転することができる。一日8000チャットくらいだった。
一回の充電で約3時間は運転できる。速度は30キロ前後は出た。
バガン→マンダレー
朝、バガンからマンダレーへバスで戻った。
来た時のような広めのシートのバスを思い描いていたら、全く違った。
乗る時間やバス会社によってサービスは異なるようだ。
中型の大きさのバスでマンダレーへ向かう。ローカルの人や欧米人で席に空きはなかった。
隣の人の体温を太ももで感じ、シートの硬さを背中で感じた。
途中、道の駅のような所で降ろされ、休憩が取られた。
ミャンマー式の定食は口に合わなかったので、ポテチで腹を満たした。
約30分の休憩の後、バスが出発した。
通路を挟んで隣りにいた中国系アメリカ人のおじいさんが陽気に話しかけてきたのでしばらく相手をしていた。
話の中で覚えていることは「ミャンマーは貧乏。」「アメリカはリッチ。」「イエローストーン国立公園はいい。」くらいだ。
休憩中にこの「リッチ」なおじいさんが、「安い」ミャンマービールを飲んでいて面白かった。
マンダレー→ピンウールィン
マンダレーでバスを降り、タクシーでピンウールィンへ向かった。
バスは運行していないこと知っていたので、タクシーを探した。なかなか捕まらず、どういうわけか、トゥクトゥクならいいとのことだったので、あるおじさんに乗せてもらった。
ピンウールィンまでは2〜3時間なので、トゥクトゥクで長距離移動は大丈夫なのかと思ったが、
実際は直に風を感じたり、山からの景色がよく見えたりといい経験になった。車では体験できなかったであろう。
目的地のカフェにも無事についた。
マンダレーとは違い、涼しい風が吹いていた。
ピンウールィン→ヤンゴン
ピンウールィンからヤンゴンへは夜行バスに乗った。
夜行バスはシートも大きく、リクライニング仕様になっていて、とても快適であった。
ヤンゴンまでは道が整備されていて、夜でも快適にバスは走行していた。
約10時間をかけて、早朝、ヤンゴンのバスターミナルについた。
ヤンゴンのタクシー
5月のヤンゴンは暑い。いや、ヤンゴンも暑い。
人の熱気が溢れ、舗装された道路や大きなビル。ミャンマーでは、気温にも増して熱気がある場所だ。
ヤンゴンでの観光にはタクシーが便利だ。歩いての観光なんてできない。暑さで気力も体力も蝕まれていってしまう。
特にスマホアプリ、grabが便利だ。タイミングが合えばすぐにタクシーに乗れるし、面倒な現金での支払いをしなくて済む。ホップオン、ホップオフといった感じだ。
タクシーに乗ると、多くのタクシーのフロントガラスの下にブッダの置き物が置かれ、ジャスミンの花が供えられていた。
ジャスミンの香りに車内は包まれ、鎮座した小さなブッダも微笑んでいるように見えた。
信号待ちの際にジャスミンの花飾りを売りに来る子供やおばあさんを多く見かけた。
旅を終えて
日本に帰国し、撮った写真をみていると、そのほとんどが乗り物の車内から撮ったものであったことに気づいた。
それだけ、移動に時間を費やした忙しい旅であったのだろう。
しかし、ローカルな交通手段を用いて、ローカルな人たちの目線でミャンマーの風景を見ることができたのは良かった。
やはり現地の人々に馴染んで旅をすることこそ旅の醍醐味であると感じている。
だけれど、大型バスやタクシーの窓ガラスを通して写真をとる自分や撮ったミャンマーの写真から、自分はツーリストでしかないということを認識せざるを得なかった。