『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる』幡野広志

僕と幡野広志さんとの出会いは、ほぼ日の糸井さんのツイートだった。その後、幡野さんの作品をみて、引き込まれたことを覚えている。

素朴な写真なのだけど、どこか優しさがあり美しい。写真を見てこういう気持ちになったのは初めてだった。

僕が、幡野さんを知った時、幡野さんはすでに末期癌になっていた。

身近に癌になった人が幸いにもいなかったが、大切な人の一人が末期癌になっているような感覚になった。

幡野さんには、一人の息子さん、優くんがいる。

末期癌と診断される一年前に生まれたお子さんだ。

紹介する本は、この優くんにあてた手紙だ。

 

読み始めると、

息子でもないのに将来この本を手にとった優くんに自分を投影しているかのような感覚になっていた。

そして、将来、優くん本人が読んだ時どう思うのだろうと考えながら読んだ。その時、幡野さんはいないかもしれない。

幡野さんの言葉は嘘偽りのないほんものの言葉だ。だから、言葉が心にすうっと入ってくる。

この手紙(本)には、一枚の写真がついている。優くんになりきっている僕はその一枚を見た時、ぐっときてしまった。

写真はその瞬間、その瞬間を切り取る。しかし、この写真は違う。

この写真は生きている写真だ。いつまでも続いていく命の写真だ。

大きな手に包まれた優くんは愛らしい表情で手をあげている。

 

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感想(1件)

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6年前

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